アカシュモクザメの腸洗い

今日は「太平洋」水槽で暮らしているアカシュモクザメについてのお話です。
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海遊館では、ジンベエザメ2頭の様子(遊泳速度や深度、遊泳コース)や行動(排便、索餌=餌を探す行動)などを24時間詳細に観察し、記録する、「定例ワッチ」という作業を月に1回行っています。

先日、その定例ワッチをしている最中に非常に珍しい光景を観察することができました。
アカシュモクザメが急に泳ぐ速度を上げたので注目してみていると、周りの水が黒く濁り、お腹にある「腹びれ」付近に何かひらひらとしたものを出したまま数十秒も泳いでいたのです。
実際の映像がこちら(0:00~0:02が分かりやすいかと思います)。


これは「腸洗い」といって、サメやエイにみられる行動です。
肛門(総排出腔)から腸の一部を出して泳ぐことにより、腸内に溜まったエサの残りカスや寄生虫等を体外へ排出する目的があるとされています。

改めて、動画を見返してみてください。
サメの腸はずいぶんと他の生物の腸と違う形態をしていませんか。

実は私もサメの腸を見たのは初めてです。腸はもっと細くてクネクネしているイメージでしたが、思ったより太くて短いと感じました。また、同じサメの仲間でも、魚食性(魚を食べること)が強いアカシュモクザメと、主に小さな動物性プランクトンを食べるジンベエザメとでは、体長あたりの腸の長さを比較するとアカシュモクザメの方が短いのかなと色々な事を考えました。
実際に、硬骨魚類の場合、腸の長さは魚食性であるほど体長に対して短く、雑食性、草食性の方が長くなると言われています。

そして、サメやエイの仲間は、腸の長さは短いものの、腸の内面に「螺旋弁」というひだを持つことで腸の表面積を大きくし、消化時間を長くして栄養吸収効率を上げているそうです。
うーん、なんでも勉強ですね。

話が逸れてしまいましたが、この腸洗いという行動はなかなか観察できるものではなく、とてもレアです。

もしご来館中にサメやエイの周囲が急に黒く濁ったら、ぜひお腹のあたりに注目してみてください!

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