一足早く 春の予感

冬~春先の大阪湾にはシミコクラゲが現れます。
先日、そろそろかなと漁港内のゴミが吹き寄せられた水面をのぞいてみたところ、小さな生き物がうようよしていました。
さっそく網で掬い、透明容器に入れてみたのが【動画1】です。ピンピン跳ねるように動いているのはカイアシ類という動物プランクトンです。大型のものは3㎜程の大きさでした。持ち帰って調べた結果、大型のカイアシ類はカラヌス・シニカスという種類だとわかりました【写真1】。
カラヌスの仲間をはじめとするカイアシ類は、春先から生物量が相当増え、イカナゴやイワシ類など魚類の子供たちの重要な餌となります。

 お目当てのシミコクラゲも見つかりました【写真2】。笠の高さが大きくても5㎜ほどの小さなクラゲです。このクラゲが面白いのは、笠の中央にある口から伸びた口柄付近から小さな子クラゲがいくつも生まれてくることです【写真2の矢印】。このような増え方をするため、大量発生しているのを見かけることがあります。他にも夜光虫やオタマボヤの仲間などの動物プランクトン、彼らの餌となるさらに小さな植物プランクトン(主に珪藻類)も多数浮遊していました。
透明容器に中の生き物たちを見ていると、やがて訪れる春の海のにぎわいを一足早く予感させてくれました。


【写真1】Calanus sinicus(カラヌス・シニカス)
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【写真2】シミコクラゲ
矢印の部分に2個体の子クラゲが作られているのがわかる。

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