新種かもしれないカニ

大阪湾にはヒライソガニというカニがいますが、少し普通とは違うヒライソガニが2009年に大阪湾の湾奥で見つかり、新種?と騒がれました。ヒライソガニは歩脚に毛が少ないのに比べ、このカニには毛が多数はえている(写真)のでケアシヒライソガニと呼ばれました。しかし、専門家が今も研究中で、正式にはまだ新種かどうかわかっていません。ケアシ~の名前も仮の名称です。海遊館前の天保山岸壁でも2013年に見つかっていましたが、それ以来まったく姿を見ていませんでした。そして、今年の6月に海遊館前の海底の泥を調査したところ、約8年ぶりにこのカニを見つけたというわけです。

 このケアシヒライソガニ(仮称)を水槽に入れて観察したところ、面白い餌の食べ方をしていましたので紹介したいと思います。普通、カニの仲間はハサミを使って餌を口に運びますが、このカニは、口の周りの顎脚(がっきゃく)をさかんに動かして小さなプランクトンを濾し取って食べています(動画)。ただし、魚肉をハサミに近づけるとはさんで食べるので二刀流と言えます。実は、ヒライソガニも同じ餌の食べ方をします。

ヒライソガニとケアシヒライソガニ(仮称)がどのような関係にあるのか?同じ種なのか?別種なのか?専門家も悩む難しい問題のようです。

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ヒライソガニの雄(左)とケアシヒライソガニ(仮称)の雌(右)

ヒライソガニにくらべケアシヒライソガニ(仮称)では歩脚に多数の毛が目立つ。
写真の両個体では色や模様がずいぶん違うが、個体により変異が大きく、似ている場合もある。


ケアシヒライソガニ(仮称)の摂餌行動。写真の個体とは別の個体。

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