ヒラムシ
- 2022.03.21
- 大阪湾で出会った生き物たち
「ヒラムシ」と呼ばれる最大でも5㎝ほどの海岸動物がいます。
日本沿岸から150種類以上が報告されており、海遊館前の岸壁調査でも複数の種類が見つかりますが、種を特定するには外観だけではなく内部器官を詳しく調べる必要があります。今のところ、体の模様が特徴的なモヨウマルヒラムシだけは外観からおおよそ判別ができますが、他の個体についてはまだ詳しく調べておらず、種を特定できずにいます(写真1)。
さて、このヒラムシは扁形(へんけい)動物というグループに含まれます。実験動物としてよく名前を聞く「プラナリア」もこの仲間です。ヒラムシは名前のとおり平べったく、薄いシートのような体全体をうまく制御して岩などの基質の上を這いまわります。捕まえようと体を刺激すると、やわらかい体を巧みに変形させながらどんどん逃げ、わずかな隙間に入り込んでしまいます。一方、種類によっては地を這うだけではなく水中を泳ぐ事もできます。例えばミノヒラムシは、動画のように体の両サイドを上下に羽ばたかせるように動かして巧みな泳ぎを見せます。
身近な海にこんな面白い生き物がいると思うとワクワクしてきます。これから春にむかい、磯浜へ出かけるベストシーズンに入ります。ぜひヒラムシにも注目してみて下さい。
【写真1】海遊館前の天保山岸壁で採集されたヒラムシ類(全長おおよそ1~3cm)
ヒラムシは扁形動物門 有棒状体綱 多岐腸目に分類される。
①多岐腸目の一種1 ③多岐目の一種3
②多岐腸目の一種2 ④モヨウマルヒラムシ
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