大阪湾にアカウミガメが漂着しました~PART2~

前回ご紹介したように(過去ブログ⇒大阪湾にアカウミガメが漂着しました)、残念ながらアカウミガメの命を救うことはできなかったのですが、そのウミガメの体には小さな同伴者がいたことがわかりました。

それはサカヅキフジツボです。ウミガメの前肢の付け根付近に見つかりました(写真1)。海岸でみかけるフジツボ類の多くは底板が岩などにしっかりとくっつき、簡単には剥がせません。一方、サカヅキフジツボは底は板ではなく薄い膜状でウミガメの皮膚への接着は弱く、殻の一部が食い込んでいましたが、取り出すのはわりと簡単でした(わかりにくいですが、【動画1】でそれを想像して下さい)。

サカヅキフジツボは、名前の通り、横から見ると盃のように見えます(写真2)。また、殻の側面のツブツブは、ウミガメの皮膚組織を巻き込むことで剥がれにくくする役目があると考えられています。

サカヅキフジツボのようにウミガメの体につくフジツボは、日本周辺では他にも数種類見つかっているようです(過去ブログ⇒我、生涯を君と共に...)。ただ、このようなフジツボ類の詳しい生態はまだわかっていません。ちなみに今回採取したサカヅキフジツボのうち現在2個体が生存中で、他のフジツボ類と同じように蔓脚(まんきゃく)を出して餌のプランクトンをキャッチして食べています。とりあえずウミガメと一緒でないと生きられないこともないようですが、まだよくわかりません。飼育を続けて少しでも謎を明らかにできればと思います。

【写真1】 アカウミガメの体に付着するサカヅキフジツボ
赤丸の中に数個体ずつ、ついている。
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 【動画1】付着するサカヅキフジツボの様子



【写真2】 サカヅキフジツボの側面
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