海遊館日記

2012年9月

イルカ通信9月号~アクアもジャンプ!編~

少し暑さが和らいできた今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

「タスマン海」水槽のイルカ達は、今日もトレーニングに励んでいます。

つい最近、2歳のカマイルカ「アクア」が、1頭でジャンプすることを覚えました。

大人のイルカ達にまじってジャンプをすることがありましたが、1頭で飛べるようになったらいいな!と、トレーニングを始めたところ、ついにジャンプができるようになりました。

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どうです?カッコ良く、きまっているでしょ?

次々に、いろいろな動きを習得しているイルカ達、私たち係員もどんな動きをトレーニングしていこうかと、わくわくしています。

オウサマペンギンのヒナが生まれました!

海遊館では、4種類のペンギンを飼育しています。展示しているのは、3種類です。

その内、3種は繁殖期が終わり、今シーズンのふ化数は0でした(悲)

ペンギン類の繁殖は、そんなに簡単ではないとわかっているものの・・・担当の私は、相当へこんでいました。

もし、オウサマペンギンの繁殖もダメだったら・・・と、心配はつのるばかりでした。

そんな、ある日の朝、オウサマペンギンの卵を収容している「ふ卵器」を覗くと・・・

はし打ち(ヒナが内側から殻を割る)が始まっているではありませんか!?

気分は一気に急上昇!
よしっ!!来たぁ~!!!!朝からテンションMAXです(笑)
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ふ化を見据え、祈る気持ちで親鳥に卵を戻しました。

しかし翌日になっても変化なし・・・
そのまた翌日も変化なし・・・

海遊館の獣医師と相談し、ふ化を手伝うことにしました。

少しづつ慎重に殻を割り進め、数十分後・・・
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やりました!!
無事にふ化させることができました!

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ヒナはとても元気で、体重は約240gでした。

ケガや病気に気を付けて、りっぱなオウサマペンギンに育ってね☆

成長記録は後日報告します♪






涼しげな水浴び

8月も終わりましたが、まだまだ厳しい残暑が続いています。

そこで皆様に、少しでも涼しい気分になって頂くために、ゴマフアザラシ「ラピス」の水浴びの写真をご覧いただこうと思います!

それでは1枚目!
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お次は2枚目~!
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最後に3枚目~♪
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不思議なことに「ラピス」は冷たい水で水浴びをしているんですが・・・。

なぜか暖かい温泉につかっているように見えてしまい、余計に暑くなってしまったのは私だけでしょうか?(笑)

ゴマフDiary

お客様から「アザラシ1頭1頭をどうやって見分けているんですか?」と聞かれることがあります。

確かにぱっと見たら、ゴマフアザラシたちはみんな似ています。

でもよ~く観察すると、目や鼻といった顔のパーツが大きかったり、小さかったり、それぞれに特徴があります。

そして、ゴマフアザラシたちは、名前のとおり『ゴマ模様』があるのですが、その模様が1頭ずつ違うので見分けるポイントになります。

例えば「サクラ」はゴマ模様が薄く、他のアザラシと比べて色白なのが特徴です。
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あ、後ろで物欲しそうにしているのはアシカの「コア」くんです。手前が「サクラ」。

では、今年生まれた「ラピス」はどんな模様かと言いますと・・・
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顔の額から鼻にかけてのTゾーンが黒いのです。

真正面から見ると・・・
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見事に鼻筋が黒くキリッと通っています(笑)
魚の入ったバケツを見つけると、この表情で近寄って来るので、思わず笑ってしまう毎日です。

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「女の子の顔を見て笑うなんて失礼しちゃうわ。。」

はい。失礼しました。
そんなラピちゃんに私たち係員はいつも癒されています。

ニホンカワウソについて

ニホンカワウソについて

 8月28日、環境省の第4次レッドリストにより、ニホンカワウソが絶滅したと公表されました。
北海道に暮らしていた亜種は1950年代、本州以南に暮らしていた亜種は1990年代に絶滅したであろうとのことです。

(環境省のホームページ)

 カワウソの仲間は世界中に13種類います。海遊館で飼育展示しているのは、東南アジアに生息しているコツメカワウソ(ツメナシカワウソ属)という種類で、ニホンカワウソ(カワウソ属)とは属のレベルで異なります。コツメカワウソは爪が小さいこと、体が小さいこと、家族で生活することなど、外見や生態に異なる部分もありますが、"カワウソが暮らす「日本の森」の様子"を紹介するために、コツメカワウソの展示を行ってきました。

 1990年の開館以来、機会がある度に、ニホンカワウソについてお話をしてきましたが、「カワウソ」という名前に対してお客様が反応してくださるようになったのは、ここ数年のことです。以前は、「ラッコやアザラシのこども?」とまちがえられたり、「イタチの仲間ですよ」と紹介しても、あまりピンとこないようでした。「カワウソ」が有名になったのは、テレビ番組に出演したコツメカワウソの影響が多いように思われます。もしかしたら、コツメカワウソとニホンカワウソを混同されている方もおられるのではないでしょうか?    

 海遊館は、ニホンカワウソが最後に見られた高知県とご縁があります。高知県土佐清水市の以布利(いぶり)という所に、海洋生物の研究所を置かせてもらい、ジンベエザメなどの調査研究を行っているからです。  

 今から10年程前になりますが「カワウソ・スクール」を開催するため、以布利の方にニホンカワウソについてお話をうかがったことがあります。漁師さんのお話では、カワウソには2タイプあり、海辺にいてカニなどを食べるものと、山にいるものがいて、海辺にいるものは山のものより大きく、色も違っていたとのことでした。海辺にいる方のカワウソは、漁師さんが沖合に仕掛けている定置網まで泳いで魚を取り、なかには網に絡まって絶命していたこともあったそうです。

 四国に棲んでいたニホンカワウソは、海で魚を獲る習性があったと本で読んだことがあったのですが、まさにその通りで驚きました。地元では、カワウソたちの糞もよく見たし、家のそばで捕まえたこともあるけれど、お話をうかがった当時で「30~40年以上も前のことだなあ~」とのことでした。以布利では、1970年~1980年代にニホンカワウソの姿が見られなくなってしまったと思われます。  

 また、2008年に開催した特別企画展示「ふしぎスコープ カワウソのひみつ」では、土佐清水市役所より貴重なニホンカワウソの剥製をお借りしました。このニホンカワウソの剥製は、雄の若獣とのことですが、市役所にも資料が残っていないため詳しい来歴はわからないとのことでした。  

 残念ながら、ニホンカワウソはこのような結果になってしまいましたが、私たちはニホンカワウソという生き物がいたことや、ニホンカワウソがなぜこのような道を進まねばならなかったのかを語り継がなければと思っています。

(参考画像)
須崎市 鍋島氏撮影(1979年)
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土佐清水市役所からお借りした「ニホンカワウソの剥製」
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特別企画展示「ふしぎスコープ カワウソのふしぎ」(2008)の展示の様子
PC070021.JPG

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