海遊館日記

2013年10月

ハッピーハロウィン♪

今日はハロウィンです!!
ちまたでは仮装をしたり、カボチャの料理を作ったりして盛り上がってますね。みなさんは何か楽しいイベントをしましたか。
海遊館でも何かできないかなーと思っていたところ、先日お花屋さんで面白い形をしたかわいいカボチャを発見してしまいました。
毎日ごく普通のカボチャを食べているカピバラのかーたんにいつもとはちょっと違った形のカボチャをプレゼント。
かーたん、すごく食べたそうにしていました。

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ですが、お店の人が食用ではないから食べないでと言っていたので、忠告通り目で楽しむだけ。ちょっとかわいそうなことしたかなぁ...

そしてお次はリスザルのポメロに見せてみました。ちょっと怖がりなポメロはどんな反応を示してくれるのでしょうか。 

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nanikore?!ナニコレ?!なにこれ?!何これ?! ×∞
どんだけ慎重やねんっ!!と突っ込みたくなるほどいろいろな角度から調査してくれました!笑
 

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  最終的には、カボチャに恐る恐る近付いて、カメラ目線の写真を1枚だけ撮らせてくれました!

 

 

 

あなたは、何クラゲ?

先日、「新・体感エリア」にあるサンゴ水槽を掃除していた飼育係員から、「サンゴの水槽でクラゲのようなものがいました」との報告を受けました。

とりあえず見てみると...。
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サカサクラゲの稚クラゲにとても似ていました。

こちらは、サカサクラゲの稚クラゲです。
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2つを並べてみました。少し色が違うだけでほとんど同じです。左がサンゴ水槽にいたクラゲ、右がサカサクラゲの稚クラゲです。
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その後も毎日1~3個体は出ており、サンゴ水槽の中をとても元気よく泳いでいました。(もちろん全て回収済みです。)

なぜ、サンゴ水槽にクラゲが出現したのか?

おそらく新しく搬入したサンゴのどこかにクラゲのポリプがついていた、今もまだついている?と思われます。

ポリプはとても小さいのでどこにいるのかはなかなかわかりません。

この後、どんな風に育っていくのかな~?と、思いつつ大事に育てていきます。

niko and ... lapis ゴマフアザラシ成長記録

今年の3月に生まれたゴマフアザラシの「ニコ」。親アザラシが上手くミルクを飲ませる事が出来なかった為、飼育係員が親代わりとなり育てました。

この「海遊館日記」でもその様子をご紹介したので、ご存知の方も多いかと思います。

そして、お母さんアザラシたちがいる「モンタレー湾」水槽へデビューして早3ヵ月。すっかり新しい環境にも慣れ、毎日元気に暮らしています。

そんな「ニコ」と仲良しなのは1年先輩の「ラピス」。彼女も同じく育ての親は飼育係員です。

境遇が似ているから(?)かどうかは分かりませんが、気が合うようで一緒に行動していることがよくあります。
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では、産みの親である「ショウ」と「ダイヤ」との仲はと言うと、、、これが全くと言っていいほど親子がお互いに興味なし。

「やっぱり覚えてないのかな~。」と思っていたのですが、ある日の夜、ふと水槽を見てみると・・・

親子が並んで寝ているではありませんか!

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『ニコくんとショウ母さん』

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『ラピスちゃんとダイヤ母さん』

やはり親子だから寝る場所の好みも似るのでしょうか。

微笑ましい夜のエピソードでした。

挑戦してみたけど...

 「パナマ湾水槽」のアカハナグマ、昨年の9月6日に生まれた子ども3頭のうち2頭が、長崎県にあるバイオパークさんへお引っ越しすることが決まりました。

母親の「アズキ」がバイオパークさんからブリーデイングローン(繁殖貸付)で当館に来ているので、こどもは互いに相談して所属を決めるのです。

そこで、海遊館に残る1頭の「パプリカ」を、お母さん以外の成獣と仲良くしてもらおうと、9月7日から同居を開始しました。

具体的には、「パプリカ♀(子)」+「アズキ♀(パプリカの母)」+「トマト♀(アズキの姉で子ども嫌い)」+「イチゴ♀(パプリカたちが生まれた時に同居したことあり)」です。

私の思惑としては、「アズキはきっと他の成獣がパプリカを襲った時には体を張って守ってくれるだろう...」「イチゴは昔同居していたこともあるので、おそらく時間が解決してくれるだろう...」ということでした。

ただ、問題は「トマト」。なんといっても「こども!!ウザい!」と思っているような態度が以前見られましたので...。

そんなこんなで、同居を開始してわかったこと。問題は「トマト」だけではなかったのです。

なんと!「アズキ」母さん、あんなに子育てを頑張って溺愛していたのに、「パプリカ」をあっさり裏切って?成獣同士仲良くしているではありませんか。夜寝る時も成獣3頭はくっついて眠り、「パプリカ」は入れてもらえません。20131028_4.JPG

餌の時間、成獣3頭が餌場を陣取り、「パプリカ」が恐る恐る近付くと、気づいた「アズキ」が威嚇して追い払う!それでも、「パプリカ」は徐々に距離を縮め、果敢にも餌をゲットできるようになっていきました。

そして、同居開始から1ヶ月ちょっと経ったある日、同じく餌の時間に成獣3頭の総攻撃にあい、やむなく「パプリカ」はバックヤードにいる、お引っ越し予定の「アセロラ」と「ローズ」の所に収容しました。

こちらが「アセロラ」。
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「ローズ」です。

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こちらが移動した後の「パプリカ」。へこんでいます。連日睡眠不足だったのでしょうか。

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自分のきょうだいの元に戻るとほっとしたようで、現在は体調も回復しています。

しかし、来月には「アセロラ」たちはいなくなってしまいますので、この先、来年の繁殖シーズンに♂の「リンゴ」と成獣の誰をペアリングするかを考えつつ、「パプリカ」と成獣同居のタイミングをはかっていきたいと思います。

マンガンとの闘い

"ピストルで決闘やて、えらい物騒やな"

いえいえご安心下さい。"ガンマン"ではなく"マンガン"ですから。

舞台は、ブログにも登場している"海遊館以布利センター"。高知県土佐清水市にあり、足摺岬にも近くとても環境の良いところです。

以布利センターの飼育水は直接海から取るのではなく、井戸を掘ってそこから滲み出てくる海水をくみ上げています。

水温の変化が少ない、雨水の影響が少ない、水槽にカキなどの生物が付きにくいなどのメリットがある反面、土の中のマンガンが溶けだして水に入ってきます。

毒性は低いのですが、配管を詰まらせたり、水槽にへばり付き真っ黒になってしまいます。

 

これがマンガンを除去する特殊なろ過装置。

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マンホールを開いて中の点検。
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表面に真っ黒なマンガンがへばり付いています。

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このマンガンをろ過装置で除去して、やっと使える水になるのです。

がんばってくれた証

先日、「モンタレー湾」水槽の陸上部分の掃除に使っているデッキブラシを交換することにしました。

交換する理由は次の写真をご覧ください・・・

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左側が新品のデッキブラシで、右側が今回交換することになったデッキブラシです。

ご覧の通り、右のデッキブラシは激しくブラシの毛が短くなってしまっています。

これは毎日飼育員が陸上部分を掃除することで少しずつブラシがすり減ってしまったんです!

では、いったいどのくらいでここまですり減ってしまうんでしょうか?

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ブラシを裏返して見ると、8月1日と日付が書いてあります。

これは去年の日付でしょうか?いえいえ、今年の日付です。

なんと三ヶ月足らずで新品のデッキブラシがここまですり減ってしまうんです!

このすり減り具合こそ、毎日の掃除で休むことなく水槽内をキレイにしてくれているデッキブラシが

がんばってくれた証といえますね!

デッキブラシさん今日までお疲れさまでした!明日からはまた、新品のデッキブラシにがんばってもらいます!


王様の家

10月11日号の海遊館日記「つるり~ん♪」で、コツメカワウソのバックヤードのすべり台についてお知らせしました。

約束通り、王様「ゴボウ」の部屋に入れてみたのですが、部屋が狭いためか、すべり台が気に入らないのか全く使用せず...。

仕方ない?ので、「グミ」に戻したところ、「これは私のものよ」とばかり、遊びまくって壊してしまいました。現在、修繕中です。

そこで、王様の家にはブランコを置いてみました。すのこを利用したこんなものです。上からぶらさげることができます。
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最初、王様がすぐに近づくのですが、ちょっとどんくさい??

嫁の「アヤメ」はぷよぷよのお腹ですが、結構器用で、バランス感覚抜群。すのこに乗って立つことも可です。
「ゴボウ」は「いいもんねー」と水に入って後肢で貝をころころしているのに注目です。

この2頭、同居を始めた頃は交尾を繰り返していましたが、最近はさっぱりです。
どうしたらいいのかなあ??などと悩んでいると、水の中でツーショット!!
カメラを向けると、「ゴボウ」はピタッと止まるのに、「アヤメ」は動きっぱなし(笑)。
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スターはポーズをとるもんだよね、さすがごぼちん!!
最後はご丁寧にサービスショットをいただきました!
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この王様ですが、嫁のひげをかじるのは相変わらずです。
自分はぼーぼーなのに...。
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アヤメ 「レディはひげを切りそろえるべき」とか思ってたら、いやだなあ。

深海の小さな生き物たちVol.3

「日本海溝」水槽の横にある深海コーナーに小型のタコが仲間入りしました!!

その名は「ヤワハダダコ」、学名はPteroctopus hoylei 

水深135~710mに生息する20~25㎝程の小さなタコです。高知県からやってきました。

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と。。。ここでいろいろ紹介したいところなんですが、なんせ海遊館では初飼育!

海遊館にやってきた時は

「『新種』ではないか???」 と大騒ぎ!!! (今思うと。。。(^_^;))

その後、他の園館さんに伺いまくって、無事に種が判明しました。(その節はありがとうございました。m(__)m)

飼育についての資料もほとんどなく、現在は手探り状態です。


『ヤワハダダコ』はその名の通り、『軟肌』です。

「タコなんだから」と思われるかもしれませんが、同じ科であるマダコとは全く違います。腕先を除き寒天質の層で覆われ、とてもプヨプヨしています。写真でお伝えできないのが残念です!!(>_<)

これからヤワハダダコの生態について、観察されたことを海遊館日記「深海の小さな生き物シリーズ」でお伝えしていきたいと思います。こうご期待♪

ただし、生物の状態により展示を中止することがありますので、ご了承ください。

イルカ通信10月号~特別講座【イルカと遊ぼう!】第一週目~編

10月12日、13日で「イルカと遊ぼう!」という特別講座を行いました。

皆さんにおもちゃをた~くさん作っていただきましたよ。
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ここに写っていないおもちゃは、イルカたちが遊んでいる真っ最中。

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タスマン海水槽では「アーチ」が口先でついつい~♪


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「ルーシー」はちょいっと沈めてポンポン~

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バックヤードの「アクア」「ミュー」は・・・
私が見に行くと、おもちゃをほっぽり出してこっちに来ちゃいました。

いつもとは違った形のおもちゃがつぎつぎに入って来てイルカたちもさぞかし刺激的だったでしょう。

実は私も刺激を受けました。みなさんの発想力に驚いてばかりです。

次回はどんなおもちゃがうまれるのでしょうか!!

楽しみ♪



仲良し親子

新・体感エリア「北極圏」ゾーンでは、北極海で飼育係自らが採集してきた生物を展示しています。

その中に、変わった形をしたアークティックアイソポッドという甲殻類・オニナナフシの仲間がいます。

下の写真がわかりやすいのですが、2個体いるのがわかりますか?
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右側のアークティックアイソポッドの触覚あたりに注目してください!
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触覚の上にわらわらといるこれ!実はアークティックアイソポッドのこどもたちなんです。

もう1枚ご覧ください。
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おわかりになりましたか?

アークティックアイソポッドのメスは、卵を胸にある保育のう(袋状のもの)で親と同じ形になるまで育て、保育のうから出たこどもは触角に付着して生活をするというおもしろい生態があります。

ということで、右の個体はお母さんなのでした。

こどもたちはお母さんの触覚の上で1年近く過ごすようです。これから、こどもたちの成長を見守っていきます!

皆さんも仲の良い親子を見てみてくださいね。

展示デビュー!

7月末に誕生し、バックヤードで飼育係員によって人工保育で育てられたジェンツーペンギンの赤ちゃんが、ついに「南極大陸」水槽へデビューしました。

フワフワとした綿羽はほとんど、抜け落ち、大人と同じ姿になっていますが、まだこども。

初めて見るキングペンギンやアデリーペンギンに少し恐縮気味でした。
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だだ、怖がって人に甘えているようではいけません!

1日でも早くジェンツーペンギンの群れに入れるように、心を鬼にして、つき放します。

親鳥も雛を巣立ちさせる時、こんな気持ちなんでしょうかね・・・

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ガンバレ!強くなるんだ!!

将来はこのペンギンがペアを形成し、新しい命が誕生してくれれば感無量なんですけどね。


新しいポリプ育てています

海遊館で展示するクラゲの多くは、海遊館で繁殖させたものです。

クラゲはポリプと呼ばれる小さなイソギンチャクのような姿の時期があり、ここからクラゲを繁殖させることができます。ポリプは大切に飼育すると分裂を繰り返して多数に増殖しますから、いちどポリプを手に入れると理論上は永久にクラゲを繁殖させつづけることができるのです。

ところが、ポリプを長期にわたって飼育しつづけていると、なかなかクラゲの赤ちゃんを出さなくなったり、育ったクラゲが奇形が多かったりと、あまりよろしくない状況になってしまいます。この現象は厳密にはきちんと確かめられたわけではなく、経験的に「何となくそんな傾向あるよね」っていうレベルなんですが、飼育係的には打つべき手を打たねばなりません。

そこで、チャンスがあれば新しいポリプを入手する努力をします。これは今年の夏採取したミズクラゲの新しいポリプです。

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産地は有明海。ビゼンクラゲ採集の際にいっしょに採った親クラゲからプラヌラと呼ばれる孵化幼生を集めて育てました。

いつもは大阪湾など近所のミズクラゲからプラヌラを採るのですが、今回はちょっと遠方の産地のミズクラゲを育てる機会に恵まれました。

そこはかとなくゴージャスな気分です。立派なクラゲに育ちますように。

秋、感じたかな?

1ヵ月程前のお話になりますが、みなさん、9月19日が何の日だったかご存知ですか?夜、美しく輝く満月を見上げた方も多いのではないでしょうか?

正解は「仲秋の名月」、いわゆるお月見の日でした! そんな秋の趣を、ラッコ達にも味わってもらおうと用意したのがこちらです!!
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じゃじゃーん!!!お月見といえばお団子、その名も「お月見だんごおり」♪♪(笑) 
氷なんですが、ちゃんとお月見団子っぽく見えますか? 

さっそく、ラッコ達に披露です(≧∀≦) 
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おっ、「パタ」が興味津々ですねぇ!

 「エレン」も近づい来たので、手渡してみたところ・・・ 
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お団子ピラミッド、即崩壊。。。(涙) 

でも、その崩れたお団子を「パタ」が一生懸命拾い集めはじめました!
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「パタ」、もしかして気に入った?? 

この氷、直径が5cmほどあり、それなりに大きいのですが、 脇のポケットに詰める・詰める・詰める・・・そして、ドヤ顔!(笑) 
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「エレン」はというと、丸くてツルツル滑るこの氷は、持ちにくかったようで、 しばらく、両手でくるくる回した後に、そーっと手放してしまいました(^^; いつもの大きい氷の方がよいみたいですね!

ちなみに、「パタ」があまりにもこの氷を気に入ってくれたので、 その日以来、毎日14:00おやつタイムに、まん丸の氷を何個か与えています。

 お月見イベント見逃した!!というお客様も、是非「パタ」がポケットに丸氷を詰め込むところを見に来て下さい(*^▽^*)

レシピでございます

今日は調餌室から、ある魚の餌づくりレシピをご紹介します。

まず準備するものは、胴が30cmくらいあるスルメイカ。胴の部分を使います。
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耳を取って皮をむき、2cm角に切ります。以前、ロールイカをつかってみましたが、水っぽいのであまりよろしくありませんでした。
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次にエビの殻をむいたもの。ブラックタイガーなどです。これもぶつぎりにします。
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それからアジの切り身。これはこの形で販売されています。アジフライ用かしら?これは皮をむいて、やはり2㎝角に切ります。
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これらをフードカッターでぶ~んと5分くらい混ぜると、素敵なすり身ができあがります!
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これにビタミン剤などを混ぜて、50gのお団子をつくります。50gというのは、●●が餌を吐き出したりした時、量をわかりやすくするためです。
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若い係員たちが団子をつくってるのを見ると、かなりあたふたしていて、いまどきの若者ってあまりお団子とか餅つき体験ってないんだろうな~と思ったり。
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そして、50gのお団子を容器につめてできたー!!おはぎみたいでしょ?
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さて、これを食べるのは??




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マンボウでした。水中で係員が潜水して餌を与えるのは、以前にもブログで紹介させていただきましたね。

マンボウは自然界ではクラゲを食べると言われていますが、胃内容物からはエビとかイカなどが見つかっているそうです。

このマンボウ団子、歴代のマンボウ担当たちがいろいろと改良を重ね、今のような形になりました。現在は1尾あたり300~400g与えています。

全部食べてくれたと聞くとうれしいぞ!!

団子を作りながら、「あー、これを油であげたら...」とか「しょうゆベースのお鍋に入れると...」「アジは入れないほうがおいしいんじゃないか?」などと、心の中で自分が食べることばかり妄想しているのは私だけでしょうか?

作る時間がお昼前でお腹がすいてるんです!!

まあ、家でやることはないんですけど。

イルカ通信10月号 ~足ががくがく~編

全国の動物園・水族館では専門分野に分かれた研究会が年に1回程度開かれています。

今回、海の獣(海獣)を飼育している人たちの研究会に参加・発表させてもらえました。

飼育係ばかりが集まるので、話の内容はケガなどの健康管理の話、輸送方法の話、新しい展示水槽の話などなどかなり深い!

カマイルカやカリフォルニアアシカにしか接したことしかないので、バンドウイルカやベルーガ・シャチ・セイウチなど、知らないことだらけでした。

私の発表内容は、カマイルカの「アクア(2010年生まれ)」が生まれてから成長するにつれて泳ぐ相手や観察される行動の内容が違ってきましたよ~という内容だったのですが、発表中は足が震え、目が泳ぎ、早口になってしまい、飼育係の集まりデビューとしては...でした。

あまり関わりが持てずにいた、東北地区や北海道、沖縄の方々とも情報の交換ができて大変有意義な時間を過ごすことができました。

こうやって情報交換をすることで、水族館の生き物にとってのよりよい環境を作ることができますし、生き物の状態や飼育施設の話などお客様であるみなさんにとって癒しや楽しさを提供できる場所にするためのヒントを得ることができるのです。

タスマン海水槽をもっと楽しくするにはどうしたらいいのか思案中!


さてさて、帰ってきてからアクアにご報告。

アクア、報告してきたよ~
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反応はいまいち。研究会って何?って感じでしょうか。

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3歳と3ヵ月になりました!



深海の小さな生き物たち Vol. 2

「日本海溝」水槽には、大きな大きなタカアシガニを展示しています。タカアシガニは成長すると、両方の鋏を広げた状態で3mにも達するものがいるといわれています。

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あ、写真は鏡に映っているわけではなく、向かい合わせの2匹です。シンクロ??
このカニたち、甲羅の大きさまは人間の顔ぐらいあります。

そして今日ご紹介するのは、日本海溝水槽の後ろを回ったところにある「深海コーナー」で展示している小さなタカアシガニです。
サイズは甲羅の横幅が3cmくらい!タカアシガニって大きなイメージしかありませんが、小さな時期もちゃんとあるんですよ。

タカアシガニの成長記録についてはあまり例がなく、静岡県の栽培センターの報告データによると、これぐらいの大きさだと1~2歳ぐらいかと思われます。

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ちょっぴり苔が邪魔で見えづらいですが、脚の模様も大きいカニたちと同じです。

ぜひ、大きなタカアシガニと小さなタカアシガニを見比べてくださいね。

電動弁の取替と整備

海遊館のLSS(ライフサポートシステム、生命維持装置)には、約200台の電動弁がついています。
電動弁はモーターの力を利用して弁の開閉を行い、水流を遮断したり流量を調整したりします。
今回はこの電動弁の調子が悪い(きちんと閉まらない)ということなので取り外して点検しました。
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まず、この電動弁に繋がっている循環を停止、そして、電動弁の取付ボルトを緩めて配管内の水抜きをします。
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完全に水が抜けた後、電動弁を取り外します。
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きちんと閉まらない原因をチェックします。どうやら、電動部(白い部分)には問題はなく、シートリング(円形の黒いゴムシート)の摩耗が原因のようです。20131013_4.jpg

電動部は残して、あとは廃棄といきたいところですがリデュース (Reduce)、リユース (Reuse)、リサイクル (Recycle)、リペア (Repair)、します。20131013_5.jpg

摩耗したシートリングを剥がし交換します。その他の消耗部品も交換し新品近くに性能を取り戻し、次回の出番を待ちます。
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完成!「Old soldiers never die, but fade away(老兵は死なず、ただ消えゆくのみ)」ではありません。まだまだ頑張ってもらいます。
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フブキの新技!

ワモンアザラシのオスの「フブキ」が最近、新しい技を覚えました!

さて、どんな技なんでしょうか?

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まずは、いつものようにトレーナーから餌をもらう「フブキ」です。

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トレーナーが、何やら合図が出ました!

「フブキ」はゆっくりとアクリルの方へ泳いで行きます!

この後、何が起こるのでしょうか?

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次の瞬間、「フブキ」がアクリルに鼻を押し付けてこちらを凝視しています!

実は新しい技とは、「合図が出るとガラスに鼻を付けてじっとする」というものなのです。

それにしても押し付けた鼻がベチャっとなって、何とも言えない不思議な顔になってしまっています。

この技を覚えたことで、今までアクリル側のお客様にお尻を向ける格好で餌をもらっていた「フブキ」ですが、ばっちりと男前な表情を観察してもらえるようになりました!

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しばらく観察を続けていると、新技を覚えた「フブキ」は興奮して、鼻息でアクリルを曇らせておりましたw

つるり~ん♪

9月30日号の海遊館日記(https://www.kaiyukan.com/blog/2013/09/post-264.html)で、バックヤードで飼育中のコツメカワウソ「グミ」ちゃんとタカラガイのことをご紹介しましたが、今回は担当の男性係員が塩ビ板で作った滑り台についてお話します。

この滑り台、高さは80cmくらい。廃材を利用して作りました。
ちょっと滑り台の角度がきついのでは?とも思いましたが、いけいけグミちゃんなら遊んでくれるだろうということで設置してみました。貝も割れてしまったし。

そーれそれそれ!
この動画では勢いが足りず、登りきることができませんでしたが、ちゃんと登りますから。

そして、「ここはお隣の部屋が見えるし、眺め最高!」と思っているようです。

そんでもって降りる時はつるり~ん♪とすべっちゃうのです。

たいへん楽しく利用しており、「担当の●●さん、ありがとう!!」です。

「日本の森」展示槽のお兄様だとすぐに壊しそうだし、おじいさんたちは使えないだろうし。

いけいけグミにぴったり!と思ってます。

あと、これで楽しんでくれそうなコといえば...王様ゴボウ??

次は王様ゴボウのところに置いてみますので、レポートお楽しみに。

ワモログ☆やっと思いが通じた!の話

ワモログ☆ひさびさに更新します。今日は先日あった嬉しい出来事のご報告です。

朝、いつものようにワモさんたちに異常がないか観察に行くと・・・
「あれ?何か違う。何この違和感・・。」
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「ギャー!フブキが流氷に乗って寝てる~~~~。」

大慌てでカメラを事務所に取りに行き、息を切らして写真を撮りまくりました。別アングルで。
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※まだ「北極圏」ゾーンをご覧になったことがない方のために説明しますと、ワモンアザラシの水槽中央には流氷(を模した擬氷)が浮いています。

なぜそんなに驚いたのかというと、いまだこの流氷に乗るワモさんの姿を誰も見たことがなかったからです。

そして私は特にこの流氷に思い入れがありました。

『氷の上で寝るワモンアザラシの姿』をお客様に見ていただきたい。

その一心で擬氷を作る職人さんに色々注文をし、完成したのがこの流氷でした。

一番こだわったのは「枕」。なぜかワモさんは段差を枕にして寝ることが多いので、盛り上がったところを作ってもらいました。
もちろん、自分でも寝心地を確かめて・・

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※決して遊んでいる訳ではありません。流氷の浮かび具合を確認中。

ですが、私の思いとは裏腹に誰も流氷に乗らず早半年。周りからも「あの氷にいつアザラシ乗るん?」とプレッシャーの日々。

餌でおびき寄せたり色々試しましたが上手くいかず、このまま乗らんかったらどうしよう・・・と思っていた矢先の出来事でした。

『寝起きでふわふわモフモフのフブキさん』
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まだこの1日しか流氷への上陸は確認できていませんが、早く慣れて皆さまにも流氷に乗ったワモンアザラシの姿がお見せできればなと思っています。

なにせビビりなものでまだ時間がかかるかもしれませんが、ちゃんと上がれることが実証されたのでいつかこの姿を披露できる日が来ることを信じています

頼むよ!ワモさん!

北極を体験しよう!

9月27日から北極で採集した生物の展示開始に伴い、10月5日(土)と6日(日)に「北極体感スペシャルレクチャー」を行いました。

北極へ行ったのは8月ですが、その時の感動や自然の美しさ・厳しさを、お客様に少しでも伝えることができればという思いでレクチャーの開催を決めました。

まずは、北極で撮ってきた写真を使用して、体験したエピソードなどを楽しく説明しました。
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これは、潜水して最初に出会った魚、スタグホーンスカルピンです。マイナスの世界に棲む生物の動きは遅かったのですが、生い茂る海藻の間や石の下にいるため、見つけるのが大変でした!
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レクチャーの後は、北極の生物を搬入した部屋(室温0℃)で現地さながらの極寒体験と生物観察。皆さん、この部屋には数分しかとどまることができませんでした(笑)。
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それから、実際に北極で採集の際に使用した極寒仕様の特別な潜水服や空気ボンベなどを見ていただきました。

極寒仕様の潜水用手袋をして氷水の中に入れると、この手袋のすばらしさがよくわかります。

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また、寒さから身を守るための潜水服は通常のものより空気を含むので、着る時にはたくさんのおもりが必要です。私たちが普段着ているものならば8~10kgぐらいなのですが、特別仕様服ではなんと約24kg!陸上での移動が大層地獄だったのがおわかりいただけますでしょうか?

新・体感エリア「北極圏」ゾーンでは、魚だけでなく変わった形や面白い動きをする生き物をたくさん展示しています。

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今回、体験に参加できなかった皆さんのためには、私たちの採集のようすを写真や映像をご覧いただくこともできますので、ぜひ見に来てくださいね。

〇〇が上手

今年の5月に、「瀬戸内海」水槽にホタテウミヘビを展示しました。

展示したものの、この子たち隠れるのが本当に上手。全く見えません(笑)

飼育係の私達ですら「もしかして死んじゃった!?」と思うほど、見つけることができなかったのですが、2か月も経った頃、ひょっこりと姿を現しました。

ところが・・・

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「隠れてないし...」

本人(魚?)たちはいたって真面目なのかもしれませんが、突っ込みどころ満載の可愛いらしいホタテウミヘビ。

「生きてて良かった...」(←飼育係心の声)


「瀬戸内海」水槽の生き物たちは隠れるのがみんな上手。

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↑にネコザメが隠れています。わかるかな?

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そう!!右下に隠れていました。

更に...

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砂の中でお休み中のヒガンフグ♪ 離れてみると全く分かりません(笑)

他にもカレイやマダコ、ゴンズイにイセエビ等々、「瀬戸内海」水槽にはかくれんぼ上級者がたくさん潜んでいます。

見つけることができるか、チャレンジしてみませんか?

作成中!

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おやおや??
係員がなにやら真剣に作業をしています。何をしているのでしょう?

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どうやら、おとまりスクールで披露する紙芝居の新作を作成しているようです!
写真を見ながら何やら書いていますね~。
もう少し寄ってみましょう!!

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おぉ!? 今度の新作はカワウソです!!下書きをしている最中だったみたいですね。

ここでため息をつきながら係員が一言。
「カワウソが今までで一番難しいです...」

えー、かなり苦戦しているみたいなので、今日はこのあたりまでにしておいてあげましょう!!

次回にご期待下さい!!!!!

巨大エイ現る!

「太平洋」水槽に全長2.5m、体盤(体の横)の幅1.8mの巨大エイがやってきました。

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このエイはマダラエイという種類で、この種類では最大級の大きさです。

海遊館の研究所である、高知県以布利センターでの魚類収集を協力して頂いている漁師さんより頂きました。
定置網に入ったところです。デカイ!

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 以布利センターに入れるところです。しばらく宙吊りやけど、がんばれ!

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 その後、以布利センターでちゃんとご飯を食べるようになったのを確認して、海遊館にトラックで運びました。
大きすぎて、トラックの水槽にキチキチです。

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 今では、海遊館での生活にも慣れて、ダイバーから直接、餌を食べています。

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 給餌時間は午後2時前後!
ぜひ見に来てくださーい。

繁殖シーズンも終盤へ...

「南極大陸」水槽で飼育しているペンギンたちの繁殖シーズンが終盤になりました。
アデリー、ジェンツーは繁殖期を終え、換羽期へ突入中。
残すはキングペンギンのみです。

数か月間、排泄物等が堆積し、とんでもない状態になっていた、アデリーペンギンの営巣場所を大掃除することに・・・
まずは巣材の撤去作業です。すこしづつバケツに入れて、急な階段を何往復もして運び出します。
これが尋常ではない重さ、おそらく全部で200㎏ぐらいはありますね。明日は間違いなく筋肉痛です(涙)

残念ながら、巣材撤去終了後、清掃前の写真は諸事情により割愛させて頂きます。。。
その後、ブラシでゴシゴシ・・・
ちょっと雪でごまかしていますが、ご勘弁を(笑)
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アデリーさん如何でしょうか?
来年も期待していますよ♪

ちなみにジェンツーの雛もすっかり大きくなり、IDバンドも装着しました。
もう大人のペンギンと同じ姿です☆
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あぁ~、ジェンツー側の営巣場所も相当汚れている模様・・・

よ~し!気合入れて頑張るぞ~!!!


さすがキング!早いですね~☆

8月27日に「南極大陸」水槽で生まれたキングペンギンの赤ちゃん、成長はとても順調です!

最近は暴れるため、毎朝実施している体重測定も困難になってきました・・・

試行錯誤の末、ひなが最も落ち着いた方法はバケツに入れる事!!
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生まれた直後の体重は約270gでしたが、もうすぐ4kgになります。しかし、まだまだ赤ちゃんに変わりはなく、親鳥にべったり。

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キングペンギンの子育て期間は非常に長く、赤ちゃんには来年春頃までフワフワとした綿羽が生えています。

日に日に成長する赤ちゃんは要チェックですよ♪

さてこの赤ちゃんは、体重何kgまで大きくなるのか、とても楽しみです。

嵐の置き土産(以布利センターだより)

高知県土佐清水市の以布利の海は、秋口には台風や低気圧などの接近で荒れることがあります。

先日の台風の時は、強い風や高い波から身を守るため、サギたちが港の中に避難してきていました。

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嵐が過ぎた次の日...。前日、沖側から強い風が吹いたので、港の中には漂流物がたくさん集まっています。

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漂流物をよく観察してみると、風や潮の流れとは異なる動きをするものがいます。

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葉っぱの切れ端のように見えますが、これ、実はナンヨウツバメウオという魚なんです。

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網ですくってバケツに入れてみると、色や形が枯れ葉によく似ているのが分かります。

漂流物の間にはこの他にもいろいろな魚が観察できますが、ナンヨウツバメウオの幼魚を見ると「秋だなぁ」と感じます。

敬老の日

少し前のお話ですが、先月9/13~16の4日間、「アリューシャン列島」水槽では、
ラッコの「エレン」の敬老のお祝いイベントをさせていただきました!!

大変たくさんのお客様に一緒にお祝いをしていただき、スタッフ一同感謝感激でした!
ありがとうございました(≧▽≦)


今回は、そのイベントの様子を一部ご報告したいと思います☆
13日の午前中に参加者の方からプレゼントを渡していただいたようすです!

まずはイセエビから、_DSC1132t.jpg
このイセエビが「エレン」にとって大ヒット!!!だったようで、

担当も驚くほどの勢いで食べてくれました。

普段ならおっとりした「エレン」は、大事な餌を「パタ」に取られてしまうこともしばしばで、
今回もすぐにとられてしまうのでは??
と心配していたのですが、

イセエビを奪いに来た「パタ」から必死に守り抜いたのです!

勝利とともに味わっている写真がこちらです♪
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なんだか顔が凛々しく感じますねぇ☆


お次は、みんなの愛情メッセージ入りおもちゃです!
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でもこちらは、受け取って1分もたたないうちに、「パタ」に取られてしまいました!(><;)

でもきっと「エレン」には、みんなの愛情が伝わったと思います!


さぁ「エレン」、また来年もみんなでお祝いするから、
いつまでも元気で、「パタ」と仲良く、長生きしてね(^^)


≪おまけ≫
おもちゃをとってしまった「パタ」はというと、どうやらこれがとても気に入ったらしく、
お腹の上に抱きかかえて寝ているところを発見!!
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思わず隠し取りをしてしまいました。(笑)
これからも時々このおもちゃは入れてみようと思います。
「エレン」、「パタ」におもちゃ貸してあげてね☆
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