カマイルカのアーチが残してくれたこと

海遊館では、1990年のオープン時より、「タスマン海」の自然環境を再現した水槽で、イルカの飼育展示を行なっています。
アーチ(愛称)は、海遊館にはじめてやってきたカマイルカで、施設が新しいだけでなく、飼育員も未熟ななか、アーチはカマイルカの飼育に必要なすべてのことを教えてくれました。

2001年から2014年にかけて計5回出産し、胎児が成長する様子から出産の瞬間、小さくて頼りない赤ちゃんに夜中もずっと寄り添って泳ぐ姿、仔イルカへの深い愛情など、アーチから、命を繋ぐことの大変さとすばらしさを学びました。

また、「カマイルカの繁殖生態」「仔イルカと母イルカの行動分析」「人工授精に向けた基礎データーの収集」など、飼育下でしか得られない情報を残してくれました。
たくさんの情報を与えてくれたアーチですが、残念ながら2018年12月24日に亡くなりました。

これからもカマイルカの飼育展示を通して、海生哺乳類の進化・適応のおもしろさや生命のすばらしさ・尊さを伝え、調査研究を通して種の保存や生息環境の保全に貢献できるよう努力してまいります。


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